あれは私が趣味の山菜採りで、少しだけ道から外れた茂みに足を踏み入れた時のことでした。静まり返った森の中で、突然、低く重たい羽音が空気を震わせました。最初は大きなハエかと思いましたが、その音の主が視界に入った瞬間、私の全身から血の気が引きました。そこにいたのは、親指ほどもある巨大なオオスズメバチでした。日本の蜂の危険度ランキングで常に頂点に立つその姿は、オレンジ色の頭部が不気味に輝き、こちらを睨みつけているような威圧感に満ちていました。私はパニックになりそうになるのを必死で抑え、蜂を刺激しないよう静止しました。しかし、蜂は私の周りを螺旋を描くように飛び回り、時折カチカチという顎を鳴らす音を立てました。これはスズメバチの最終警告であることを、後に知識として知りましたが、その時は本能的な死の恐怖しかありませんでした。オオスズメバチの毒はカクテル毒と呼ばれ、複数の成分が組み合わさって心停止や呼吸困難を引き起こします。また、針だけでなく強力な顎で皮膚を噛み切ることもあると聞いていたため、一歩でも動けば終わりだと思いました。蜂は数分間、私の顔の周りを行ったり来たりしていましたが、やがて興味を失ったのか、森の奥へと飛び去っていきました。あの時の羽音と、こちらを値踏みするような動きは、今でも夢に見るほど鮮明に覚えています。オオスズメバチは単に毒が強いだけでなく、その圧倒的な存在感だけで人間を精神的に追い詰める力を持っています。ランキング第一位という称号は決して大げさなものではありません。山に入る際は、蜂の活動が活発な場所を避け、黒い服を着ない、香水を使わないといった基本的な対策がいかに重要かを身をもって知りました。自然は美しいものですが、そこには絶対的な捕食者としての蜂が潜んでいることを忘れてはなりません。あの日以来、私は森へ行く際には必ず蜂専用の殺虫剤とポイズンリムーバーを携帯するようになりました。あの恐怖を二度と味わいたくないという思いが、私に徹底した準備をさせています。