インターネット通販の普及により、私たちの家庭には日々、多くの段ボールが届けられます。しかし、この便利な梱包材が、実はゴキブリにとって最高の産卵場所であり、家の中に彼らを招き入れる「トロイの木馬」となっていることをご存知でしょうか。なぜ、ゴキブリはこれほどまでに段ボールを好むのでしょうか。その理由は、段ボールが持つ、いくつかの特性にあります。第一に、その「構造」です。段ボールは、波状に加工された中芯(なかしん)を、二枚の紙で挟んだ三層構造になっています。この波状の部分が作り出す、無数の狭い隙間は、ゴキ-ブリにとって、外敵から身を守り、卵(卵鞘)を産み付けるのに、まさに理想的な空間なのです。暗くて、狭くて、保温性も高い。彼らにとって、これ以上のベビーベッドはありません。第二に、「匂い」です。段ボールの接着に使われる糊には、デンプンが含まれており、これがゴキブリの餌となります。また、段ボールそのものも、彼らが好むセルロースでできています。さらに、輸送の過程で、様々な食品の匂いが染み付いていることもあり、ゴキブリを強く誘引します。第三に、「湿度」です。紙製品である段ボールは、湿気を吸収しやすく、ジメジメとした環境を好むゴキブリにとって、快適な湿度を保ってくれます。そして、最も恐ろしいのが、私たちが荷物を受け取る前の「流通過程」で、すでに卵が産み付けられている可能性があることです。倉庫や配送トラックの中といった、段ボールが山積みになっている場所は、ゴキブリにとって格好の繁殖拠点です。そこに潜んでいたゴキブリが、段ボールに卵を産み付け、それが私たちの家に配達され、暖かい室内で孵化し、大繁殖を始める。これが、家の中にゴキブリがいなかったはずなのに、突然現れるようになる、最も一般的なシナリオの一つなのです。このリスクを避けるための対策は、ただ一つ。「荷物が届いたら、すぐに中身を取り出し、段ボールは即座に畳んで、家の外に出す」。この習慣を徹底することです。
段ボールはゴキブリの産卵ハウス