もし、家の隅や家具の裏で、小豆のような形をした、黒褐色で光沢のある、小さなカプセルのようなものを見つけてしまったら。それは、ゴキブリの卵、すなわち「卵鞘(らんしょう)」である可能性が非常に高いです。パニックになり、掃除機で吸い込んだり、素手で潰したりするのは絶対にやめてください。一つの卵鞘の中には、クロゴキブリなら20〜30匹、チャバネゴキブリなら30〜40匹もの幼虫が詰まっています。下手に刺激を与えると、中の卵を周囲に撒き散らしてしまい、被害を拡大させることになりかねません。ゴキブリの卵鞘を発見した時の、最も安全で確実な駆除方法は、以下の通りです。まず、絶対に素手で触れないでください。使い捨てのビニール手袋をはめるか、なければビニール袋を二重にして手にかぶせます。そして、ティッシュペーパーやキッチンペーパーを数枚重ねて、卵鞘をそっと、潰さないように優しく掴み取ります。この時、卵鞘が壁や床にしっかりと接着されている場合があります。無理に剥がそうとせず、ヘラや古いカードのようなもので、慎重に削ぎ落とすようにして剥がしてください。捕獲した卵鞘の処理方法は、いくつかあります。最も確実なのは、ビニール袋に入れ、上から靴で踏みつけるなどして、中の卵を完全に潰してから、袋の口を固く縛って、燃えるゴミとして捨てる方法です。あるいは、50度以上のお湯をかければ、中の卵は死滅します。熱湯をかけるか、熱湯に浸けるのも有効です。そのままトイレに流すという方法もありますが、万が一、下水管の中で孵化する可能性もゼロではないため、潰すか熱湯で処理した上で流す方がより確実です。卵鞘を取り除いた後は、その場所をアルコール除菌スプレーで徹底的に消毒します。ゴキブリは、仲間のフンなどが発するフェロモンを頼りに集まってくるため、その痕跡を消し去ることが、再発防止に繋がります。卵鞘を一つ見つけたということは、あなたの家のどこかに、まだ他の卵鞘や、親のゴキブリが潜んでいる可能性が高いという、重大な警告です。
ゴキブリの卵を見つけたらどうする?