シバンムシの被害に遭った人の多くが口にするのが、「まさか自分の家で湧くなんて」という言葉です。しかし、その発生原因のほとんどは、私たちの日常的な買い物と、その後の保管方法に潜んでいます。シバンムシとの戦いは、スーパーマーケットの棚の前から、すでに始まっているのです。彼らを家に「持ち込まない」、そして家の中で「増やさない」ための、購入時と保管の鉄則を学び、食の安全を守りましょう。まず、購入時の鉄則です。小麦粉やパスタ、ペットフードといった、シバンムシが好みそうな乾燥食品を購入する際は、ただ商品をカゴに入れるだけでなく、一瞬だけ、そのパッケージを注意深く観察する習慣をつけましょう。袋に、針で開けたような不自然な小さな穴が開いていないか。袋の底に、粉が不自然に溜まっていないか。もし、少しでも異常を感じたら、その商品の購入は避けるのが賢明です。特に、長期間店頭に置かれている可能性のある、安売りの商品や、パッケージにホコリがかぶっているような商品は、注意が必要です。次に、家に持ち帰ってからの保管の鉄則です。これが、シバンムシ対策の要となります。買ってきた食品を、購入した時の袋や箱のまま、輪ゴムやクリップで口を縛っただけで保管するのは、最も危険な行為です。シバンム-は、薄いビニールや紙の袋をいとも簡単に食い破り、中へと侵入してしまいます。対策は、ただ一つ。「徹底した密閉」です。小麦粉やパスタ、乾物、ペットフードなど、封を開けた乾燥食品は、必ず、パッキンが付いたガラス製やプラスチック製の「密閉容器」に移し替えましょう。これにより、外部からの侵入を物理的に防ぎ、万が一、購入した食品の中に卵が潜んでいたとしても、成虫が外に出て被害を広げるのを防ぐことができます。さらに、シバンムシは高温を好むため、可能なものであれば「冷蔵庫」で保管すると、より万全です。唐辛子やローリエといった、虫が嫌うものを一緒に入れておくのも、伝統的な知恵として有効です。日々の買い物と、その後のほんのひと手間で、不快な害虫の発生リスクは劇的に減少します。あなたのキッチンを、シバンムシにとっての難攻不落の要塞へと変えましょう。
シバンムシを家に持ち込まないための購入時と保管の鉄則