蜂に刺された後、体に異変を感じた際、病院に到着するまでの数分間にどのような行動を取るかが、生存率を大きく左右します。アナフィラキシーショックの兆候は、皮膚の赤みや痒み、そして息苦しさやめまいとして現れます。もしこれらの症状が一つでも出たならば、直ちに以下の応急処置を開始してください。まず第一に、蜂の針が残っている場合は、ピンセットや指で引き抜こうとせず、カードなどの薄くて硬いもので横に弾き飛ばします。針の根元にある毒袋を潰すと、毒がさらに体内に注入されてしまうからです。次に、傷口を大量の水道水で洗い流します。蜂の毒は水に溶けやすいため、物理的に洗い流すことで体内に入る量をわずかでも減らすことができます。この際、口で毒を吸い出すのは、口内の傷から毒が吸収される危険があるため絶対に避けてください。三番目に、全身の安静を保ちます。歩き回ったり、激しく動いたりすると心拍数が上がり、毒が全身に回る速度を早めてしまいます。できるだけ楽な姿勢で横になり、意識がある場合は足を高くして血流を脳や心臓に集めるようにします。もしエピペンを所持している場合は、このタイミングで躊躇なく使用してください。太ももの外側に強く押し当て、数秒間保持することで、薬剤が確実に注入されます。その後、周囲に人がいる場合は大声で助けを呼び、救急車の要請を依頼します。一人の場合は、意識があるうちに自ら一一九番通報を行い、現在の場所と状況、蜂に刺されたことを簡潔に伝えます。通報後は、救急隊が到着しやすいように玄関の鍵を開けておくなどの配慮も、意識を失う前にできれば理想的です。救急車が到着するまでは、意識の確認を続け、もし呼吸が止まったり脈が触れなくなったりした場合は、直ちに心肺蘇生法を実施する必要があります。ショック状態に陥ると、体温が低下しやすいため、毛布などで保温することも有効です。ただし、水分を無理に飲ませることは、嘔吐による窒息のリスクがあるため控えなければなりません。これら一連の動作は、事前にシミュレーションしておかなければ、いざという時に実行するのは困難です。蜂のアナフィラキシーショックは「時間との戦い」です。正しい手順を頭に叩き込み、一刻も早く専門的な医療チームにバトンを渡すことが、最善の結果を得るための唯一の道なのです。