マンションに比べて外部との接点が多い一戸建て住宅において、ゴキブリ駆除はより広範囲かつ戦略的なアプローチが求められます。築十五年、二階建て四LDKの一軒家で、長年ゴキブリの影に悩まされてきたある家庭の事例を振り返ると、一戸建てならではの費用の実態が見えてきます。この家庭が依頼した専門業者による徹底駆除の総額は、約八万五千円でした。内訳は、室内全体のベイト工法とスプレー散布に四万円、床下および屋根裏への粉末薬剤の散布に一万五千円、そして侵入経路となる十箇所以上の隙間封鎖作業に三万円というものでした。マンションと異なり、一戸建ては基礎の通気口や屋根の合わせ目、エアコンのドレンホース、床下の排水パイプなど、外部からの侵入ルートが無数に存在します。プロのスタッフは、まず外周を一周してこれらの穴を特定し、ステンレスネットやパテを使用して一つずつ潰していきました。さらに、床下に潜り込んで土壌や基礎部分に防虫処理を施すことで、ゴキブリの「繁殖基地」そのものを破壊しました。この八万五千円という費用を高いと感じるか、妥当と感じるかはその後の経過が証明しています。駆除前は、夏場に週に一度は巨大な個体を目撃し、そのたびに家族がパニックになっていましたが、施工後は一年間を通じて一匹も姿を見ることがなくなりました。一戸建ての場合、ゴキブリは庭の植え込みや近隣の家から絶えずやってくるため、室内の個体を殺すだけでは不十分です。「建物をバリアで包む」という発想での徹底防除が必要であり、そのためには相応の工賃と薬剤費がかかります。しかし、これにより毎年数千円ずつ殺虫スプレーや罠を買い続け、不安な夜を過ごすコストとストレスを合算すれば、数年に一度の八万五千円は十分に元が取れる金額と言えます。特に一戸建ては資産価値の維持も重要であり、ゴキブリだけでなくシロアリなどの他の害虫の予兆を同時に点検してもらえるメリットもあります。一戸建ての駆除費用は、建物の「防衛力」を強化するための抜本的な修繕費であり、家族全員の健康と安眠を長期間にわたって保障するための、極めて合理的な支出なのです。