私は数年前、庭の手入れ中にアシナガバチに刺され、アナフィラキシーショックで生死の境を彷徨いました。それまでは「蜂に刺されて死ぬなんて、よほど運が悪い人だけのことだ」と高を括っていましたが、あの日を境にその考えは完全に打ち砕かれました。刺された瞬間は、それほど強い痛みではありませんでした。以前にも一度刺されたことがあったので、また腫れるだけだろうと軽く考え、作業を続けていたのです。しかし、わずか五分後、世界が一変しました。まず、手のひらが耐え難いほど痒くなり、みるみるうちに体中に赤い斑点が広がりました。それと同時に、まるで誰かに首を絞められているかのように息ができなくなり、心臓が耳元で鳴っているような激しい動悸に襲われました。足に力が入らなくなり、地面に倒れ込んだ時、初めて「自分はここで死ぬかもしれない」という死の恐怖が全身を貫きました。幸いにも、家の中にいた妻が私の異変に気づき、すぐに救急車を呼んでくれました。病院へ向かう救急車の中での記憶は断片的ですが、隊員の方の「しっかりしてください、もうすぐ着きますから」という必死の声だけが、意識を繋ぎ止める細い糸のようでした。病院に到着してすぐにアドレナリンの注射を受け、数時間後にはようやく呼吸が楽になりましたが、医師からは「あと数分遅れていたら、心臓が止まっていた可能性が高い」と言われ、背筋が凍る思いをしました。この経験から学んだ最大の教訓は、蜂毒のアレルギーは誰にでも、そして突然牙を剥くということです。退院後、私はすぐにアレルギー検査を受け、自分が非常に強い抗体を持っていることを確認しました。今では外出時にエピペンを肌身離さず持ち歩いています。また、以前は無頓着だった蜂の巣の有無についても、家の周りを毎日点検するようになりました。蜂を恐れすぎる必要はありませんが、正しく恐れることは必要です。もしあなたが一度でも蜂に刺されたことがあるなら、あるいは身近に蜂が多い環境にいるなら、どうか自分の体を過信しないでください。あの日、私が生き延びることができたのは、偶然にも助けがあったからです。しかし、次はそうはいかないかもしれない。その自覚こそが、私にとっての最大の防御となりました。命は、たった一匹の小さな虫によって、あまりにも簡単に奪われそうになる。その脆さを知ることで、私は今、自分の人生をより大切に思えるようになっています。