皮膚科医に聞くやけど虫皮膚炎の治療法
やけど虫、正式名称アオバアリガタハネカクシによる皮膚炎は、その症状の激しさから、迅速かつ適切な医学的治療が不可欠です。もし、特徴的な線状の赤みや水ぶくれが現れたら、迷わず皮膚科を受診してください。専門医は、患者さんの症状を診察し、原因を特定した上で、最適な治療法を提案します。皮膚科で行われる治療の基本は、炎症を強力に抑えることです。このために中心的な役割を果たすのが「ステロイド外用薬」です。やけど虫の毒素ペデリンによる炎症は非常に強いため、市販の弱いステロイド薬では効果が不十分なことが多く、医師の処方が必要となる、よりランクの高い強力なステロイド軟膏やクリームが用いられます。これを一日数回、患部に塗布することで、痛み、赤み、腫れといった症状を効果的に鎮めていきます。また、多くの患者さんを悩ませるのが、耐え難い痒みです。掻きむしってしまうと、皮膚をさらに傷つけ、二次感染や色素沈着のリスクを高めます。この痒みを抑えるために、「抗ヒスタミン薬」や「抗アレルギー薬」の内服薬が併用されることが一般的です。これにより、夜間の痒みによる睡眠不足などを防ぎ、患者さんのQOL(生活の質)を改善します。水ぶくれが大きい場合や、二次感染の兆候が見られる場合には、医師の判断で水ぶくれの内容物を排出したり、抗生物質の内服薬や外用薬が追加で処方されたりすることもあります。治療期間は、症状の重症度によりますが、一般的には1週間から2週間程度で急性期の症状は落ち着きます。しかし、その後も色素沈着がしばらく残ることが多いため、根気強いケアが必要です。自己判断での治療は、症状の悪化や治療の遅れを招くだけです。専門医による的確な診断と治療こそが、安全で確実な回復への最短ルートなのです。