待ちに待った海外旅行の最中、私はこれまでに経験したことのないような虫刺されの被害に遭いました。宿泊したホテルのベッドに潜んでいたトコジラミ、別名ナンキンムシが犯人でした。刺された直後は全く気づきませんでしたが、翌朝目覚めると、腕や足の露出していた部分に、赤い発疹が点々と並ぶように現れていました。その痒みは尋常ではなく、まるで皮膚の内側で火が燃えているような、激しく執拗なものでした。さらに数日が経過すると、特に反応が強く出た箇所のいくつかが、パンパンに膨らんだ水ぶくれに変わりました。トコジラミによる虫刺されが水ぶくれになるかどうかは個人差が大きく、これは吸血の際に注入される唾液成分に対するアレルギー反応の強さによって決まるそうです。私のようにアレルギー体質の人間にとっては、単なる腫れでは済まず、組織液が溜まって大きな水ぶくれにまで発展してしまいます。トコジラミの恐ろしさは、一度刺されると痒みが数週間も続くことと、夜間に寝ている間に執拗に襲ってくるという精神的なダメージにあります。水ぶくれができたことで、私は服が擦れるだけでも激痛を感じ、観光を楽しむどころではなくなってしまいました。現地で受診した医師からは、水ぶくれを潰すと二次感染の危険があるため、決して触らないようにと厳重に注意されました。帰国後も、自分の荷物にトコジラミが紛れ込んでいないかという不安に苛まれ、全ての衣類を高温乾燥機にかけるなど、駆除のために膨大な労力を費やすことになりました。トコジラミによる水ぶくれは、単なる虫刺されの域を超えた、生活の質を著しく低下させる深刻なトラブルです。近年、日本国内の宿泊施設でも被害が増加していると聞き、私はそれ以来、ホテルにチェックインした直後は必ずベッドのシーツの端やマットレスの隙間に黒いシミ(血糞)がないかを確認するようになりました。もし、旅行中や帰宅後に原因不明の激しい痒みと水ぶくれに襲われたら、それはトコジラミの仕業かもしれません。早めに専門医に相談し、適切な強さのステロイド薬で炎症を抑えるとともに、住居への定着を防ぐための対策を講じることが、この目に見えない吸血鬼から逃れるための唯一の道です。