白蟻の被害は、一度発生してしまうと、駆除に多大な費用と労力がかかり、家の構造にも深刻なダメージを与えかねません。だからこそ、最も賢明で、そして最もコストパフォーマンスに優れた対策は、そもそも白蟻を「家に寄せ付けない」ための、日々の予防策を地道に実践することです。白蟻は、特別な場所に現れるわけではありません。彼らが好む「条件」が揃った家を、嗅ぎつけてやってくるのです。その条件とは、ズバリ「湿気」と「餌(木材)」です。この二つの要素を、家の周りから徹底的に排除することが、最強の予防策となります。まず、最も重要なのが「湿気対策」です。白蟻は、湿って柔らかくなった木材を大好物とします。家の床下の湿気対策は、白蟻予防の要です。床下の風通しを良くするために、基礎に設置されている換気口の前に、植木鉢や物置などを置かないようにしましょう。また、定期的に換気口のクモの巣やゴミを取り除き、空気の流れを確保することも大切です。家の外壁の周りでは、雨漏りや、給排水管からの水漏れがないかを定期的にチェックし、もし異常があれば速やかに修理します。雨樋に落ち葉が詰まっていると、雨水が壁を伝って基礎部分を湿らせる原因となるため、こまめな掃除も欠かせません。次に、「餌の管理」です。家の周りに、白蟻の餌となる木材を放置しないことが鉄則です。庭に置きっぱなしの古い切り株や、ウッドデッキの下に積んだままの木材、あるいは家の基礎に立てかけてある廃材などは、白蟻を呼び寄せるための「ごちそう」を並べているようなものです。これらの不要な木材は速やかに処分し、薪などを保管する場合は、家から離れた、コンクリートの上に置くなどして、地面と直接触れないように工夫しましょう。また、段ボールも白蟻の好物です。引っ越しなどで使った段ボールを、物置や押し入れに長期間保管しておくのも避けましょう。これらの地道な環境整備は、即効性のあるものではありません。しかし、継続することで、あなたの家は、白蟻にとって何の魅力もない、生存不可能な不毛の地へと変わっていきます。日々の小さな心がけこそが、あなたの家を静かなる侵略者から守る、最も強力なバリアとなるのです。
白蟻を家に寄せ付けないための予防策