和室でくつろいでいる時、ふと畳の上に、黒ゴマをこぼしたかのような、小さな赤褐色の虫が歩いているのを見つけた。あるいは、畳の表面に、まるで針で刺したかのような、小さな丸い穴がいくつも開いているのに気づいた。もし、あなたがこのような状況に遭遇したなら、その犯人は「シバンム-」である可能性が非常に高いです。多くの人は、シバンムシをキッチンに発生する食品害虫だと認識していますが、実は、彼らは畳の主原料である「乾燥した稲ワラ」も大好物としており、畳もまた、彼らにとっての重要な発生源の一つなのです。畳の内部は、暗く、湿度が保たれ、そして餌となるワラが豊富にあるため、シバンムシの幼虫にとっては、まさに理想的な発育環境と言えます。畳の内部で卵から孵化した幼虫は、ワラを食べながら成長し、やがて成虫となって、畳表を食い破って外に出てきます。この時にできるのが、あの小さな丸い穴なのです。畳から発生したシバンムシは、和室だけに留まりません。成虫は飛ぶことができるため、そこから家中に拡散し、キッチンにある小麦粉やパスタに産卵するなどして、被害をさらに拡大させる危険性があります。畳からシバンムシが発生した場合の対処法は、被害の深刻度によって異なります。もし、発生している虫の数が少なく、被害が限定的であれば、応急処置として、畳に熱を加える方法が有効です。例えば、天気の良い日に畳を屋外に出して天日干しをしたり、布団乾燥機や、スチームアイロン(当て布をする)を使って、畳の内部の温度を上げることで、中に潜む幼虫や卵を死滅させることができます。また、畳に針を刺して薬剤を注入するタイプの殺虫剤も市販されています。しかし、もし、畳の穴の数が非常に多い、あるいは、毎年同じ時期に大量発生を繰り返すといった、深刻な状況である場合は、もはや素人の手には負えません。畳の内部深くまで被害が進行している可能性が高く、最も確実な解決策は、専門の畳店や害虫駆除業者に相談し、畳そのものを交換するか、専門的な熱処理や燻蒸処理を行ってもらうことです。畳から現れる小さなゴマ粒は、見えない内部で被害が進行しているサイン。その警告を、決して見過ごしてはいけません。
畳からゴマみたいな虫が!その正体と対処法